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ヤマネコ カンムリワシ 共存関係? 西表、琉大研究G発表 有限のえさ資源使い分け


ヤマネコ カンムリワシ 共存関係? 西表、琉大研究G発表 有限のえさ資源使い分け イリオモテヤマネコとカンムリワシの食性のイメージ図(琉球大学提供)
この記事を書いた人 Avatar photo 外間 愛也

 琉球大学の研究グループは11日、西表島に生息する絶滅危惧種のイリオモテヤマネコとカンムリワシが、限られたえさ資源を使い分けることで共存関係を構築している可能性が高いとする研究成果を発表した。2日付の国際学術誌サイエンティフィックリポーツにオンライン掲載された。

 研究は2018~20年の夏季と冬季、当時琉大大学院理工学研究科の修士課程だった戸部有紗さん(現・京都大学大学院理学研究科博士課程2年)、佐藤行人琉大医学部准教授、伊澤雅子琉大理学部教授(現・北九州市立自然史・歴史博物館長)らの研究グループが実施した。

 採取したイリオモテヤマネコとカンムリワシのふんからDNAを抽出して解析することで、えさとなった動物を特定。それぞれが主に捕食している動物の構成が有意に異なることが判明した。

 イリオモテヤマネコはクマネズミなどのほ乳類やシロハラクイナなどの鳥類、カンムリワシはカニ類などの無脊椎動物やは虫類のうちサキシマスベトカゲをよく食べる傾向がみられた。過去の調査では、それぞれがえさとする動物の種類は判明していたが、頻度までは分かっていなかった。

 戸部さんは「調査結果は将来的な種の保全にも役立つと考える。不足しているデータもあるため、継続的に調査したい。今後、石垣島でもカンムリワシの調査に取り組みたい」と述べた。

 (外間愛也)