【国頭】長年ウミガメの保護・調査を続けている日本ウミガメ協議会会員で自然公園指導員の嘉陽宗幸さん(70)=国頭村桃原=は4月17日、ウミガメの産卵場所として知られるやんばる国立公園区域内の国頭村奥海岸で希少種のアカウミガメの産卵を確認した。嘉陽さんによると、今年のアカウミガメの産卵はこの日が全国初になるという。
嘉陽さんは同日午前6時45分ごろ、調査中に波打ち際からアダンが密集した陸側へ約20メートル続くアカウミガメの足跡を発見した。卵があるのを確認し、周辺の石を利用して種類や産卵日を記入したラベルを立てて注意を促した。捕食されないような深さに卵を埋め戻すなどの保護対策も取った。
この海岸では、周囲の石を集めてたき火を行った跡が3カ所ほど見つかっている。産卵への悪影響も懸念され、過去には産卵巣の近くでたき火をした影響で、卵が割れたり、くぼんだりした例もあるという。
産卵確認場所近くでは、ウミガメの足跡が2カ所発見されたが、ほかに産卵は見つからなかった。これから産卵のピークを迎え、嘉陽さんの調査活動は9月ごろまで続く。
これから夏場に向けて村内海岸では行楽客や釣り、キャンプ客でにぎわうことが予想され、嘉陽さんは「ウミガメが無事に産卵巣から脱出するよう大事に見守ってほしい」と話す。「今回の産卵は、アカウミガメの全国初だが、漂着ごみやキャンプのたき火、石窯の跡など、やんばる国立公園区域内らしからぬ現状だ。関係機関は現状把握と対策をお願いしたい」と訴えている。
嘉陽さんによる昨年の調査では、国頭村内の海岸で、アカウミガメが38カ所、アオウミガメは54カ所で産卵が発見された。
(新城高仁通信員)