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日本兵展示改ざんに怒り 平和資料館報道語る 琉球新報社北部支社長の松永氏 沖縄戦の記憶継承プロジェクト


日本兵展示改ざんに怒り 平和資料館報道語る 琉球新報社北部支社長の松永氏 沖縄戦の記憶継承プロジェクト 取材経験を話す琉球新報社の松永勝利北部支社長(右端)=13日、那覇市泉崎の琉球新報社
この記事を書いた人 Avatar photo 中村 優希

 「沖縄戦の記憶継承プロジェクト―戦争をしない/させないために」(同プロジェクト実行委員会主催)の第2期9回目講座が13日、琉球新報社で開かれ。約30人が参加した。琉球新報社の松永勝利北部支社長が登壇した。1999年に県平和祈念資料館の展示内容を巡り、政府を刺激しないために県庁内部で「日本軍の残虐性を強調しすぎない」との方針で展示内容を変更する作業が進んでいた問題の取材経験を話した。

 「ガマでの惨劇」の模型で、日本兵が住民に向けていた銃を外す案があると報じると、県内メディアが一気にキャンペーン報道を展開した。その後、県民の反発を招き、展示は元に戻った。変更しようとした意図などについて県に繰り返し質問したが、最後まで正面から答えようとしなかったという。

 一連の報道で県民から激励の言葉が多く届いたといい「それほど一般の人は怒っていた。沖縄戦で家族を失った人ばかりだったと思う。事実の展示を、勝手に県庁職員だけで変えてしまうことへの憤りがあったはずだ」と話した。

 そのほか松永氏は、辺野古の基地建設を巡る裁判で国に有利なように進める政府の姿勢や、米軍機事故を「墜落」ではなく「不時着」などと過小表現する政府や米国の姿勢などを取材・報道の視点から紹介した。

 (中村優希)