【宮古島トライアスロン取材班】照りつける太陽の暑さに負けない熱量の声援に背中を押され、161キロのストロングレースを駆け抜けた選手と、ゴール前で迎える家族や同僚、仲間たち。第38回全日本トライアスロン宮古島大会(主催・宮古島市、琉球新報社)はコロナ禍の制限がなくなり、ゴール地点の宮古島市陸上競技場は横断幕を掲げたり、大所帯でゴールしたりと、にぎわいを取り戻した。
宮古島の海と空、人の温かさに触れた全国のトライアスリートは歓声と拍手に包まれ、ゴールの喜びをかみしめた。
潮の流れに逆らったスイム、向かい風と闘ったバイク、暑さに苦しんだランの計161キロを乗り越えた選手らは、ゴール地点の宮古島市陸上競技場に入ると、声援に力を取り戻してラストスパートへ。そこに、仲間や家族が手書きの横断幕やのぼり、うちわを持って駆け寄っていく。すでにゴールした選手らも声援を送り、会場全体で各選手の健闘を喜び合った。
「和也先生、頑張れー」。宮古島市立北小学校の教諭、下里和也さん(41)を待っていたのは前任の東小学校の教え子ら約20人。ラン終盤から足がつっていたので「内心歩きたかった」が、教え子らのサプライズに限界を超えたラストスパート。子どもらがじゃれるたびに足の痛みに顔を引きつらせながら、「ありがとうな」と喜んでいた。
ドン・キホーテ宮古島店の前店長、佐伯航さん(45)は、従業員らが佐伯さんの名前とイメージキャラクター「ドンペン」を描いた横断幕(縦約1メートル、横約5メートル)と共にゴール。現在は石垣島店の店長で、5月には福岡に転勤する。仲間からの歓迎に「笑顔で沖縄を離れられます」と最高の瞬間を味わった。
約30年前から本大会に参加してきた仲川智雄さん(56)=東京都=は妻の照枝さん(52)と共にフィニッシュ。コロナ禍の制限なく活気が戻った本大会に「島民の声援に胸にこみ上げるものがある」と感謝の思いでいっぱいだ。初めて同行した照枝さんは「応援する人がこんなに多く、一生懸命頑張っている選手がいる。この光景を見ているだけで涙が出てしまう。夫のゴールする姿を見ることができてうれしい」と智雄さんをねぎらった。
(友寄開、嘉陽拓也)