沖縄県北谷町北前区は20日、津波警報が発表された際は、近隣の米軍キャンプ・フォスターの高台へつながるゲートをすぐに開放することなどを求める決議を採択した。3日の台湾東部沖地震に伴って県内に津波避難警報が発表された際に、協定に基づいてキャンプ・フォスター内の高台へ避難しようとしたが、ゲート前で警備員に一時足止めされ、協定がすぐに機能しなかったことを踏まえ、円滑に避難できるよう改善を求めている。
同日、同区公民館で自治会総会を開き、「津波警報発令時に米軍施設の即時開放を求める決議」を防衛省や北谷町、在沖米総領事、米軍に求めることを決めた。直ちにゲートを開放しなかった経緯の検証と結果の公表、津波警報発表と同時に米軍施設を開放できるよう日米の協定を見直すことを要望する。
決議によると、住民は警報発表後すぐに基地内の避難場所を目指したが、北前ゲートの日本人警備員から「指示が出ていない」と言われた。押し問答の末、13分間足止めされた。ゲートが開放されたのは警報発表から22分が経過していた。
北前区は北谷町と米海兵隊の協定に基づき、津波を想定して毎年実施してきた基地内に避難する訓練に参加してきた。今回の決議で同区は「避難住民が北前ゲートで足止めされるという事態が発生したことは、これまでの津波避難訓練が生かされず、住民の命がないがしろにされている現実を浮き彫りにした」とした。
基地内への立ち入りに足止めされた住民の一人だった徳田伝自治会長は琉球新報の取材に「総会では『住民の安全第一に取り組んでほしい』との声があった。関係機関に届け、改善に向けて頑張りたい」と話した。
(梅田正覚)