県はこのほど、県内市町村を対象に、4月3日に発表された津波警報への対応に関するアンケート結果を発表した。外国語で避難情報の伝達をしたのは、警報対象外だった南北大東村の2村を除き、39市町村のうち12自治体にとどまった。
観光客の避難誘導を定めたマニュアルがあるのは全41市町村のうち13自治体だった。日本語が通じない外国人や、土地勘の薄い観光客への情報発信という課題が浮き彫りになった。
県の吉田英紀危機管理補佐官は「情報を得にくい外国人や観光客に対して、いかに情報を出して具体的な避難行動に結び付けるかという課題が明らかになった」と指摘した。県は具体的な市町村名を明らかにしていないが、小規模自治体を中心に担当者のマンパワー不足などで対応が十分にできていないとみている。
4月3日、台湾付近で発生した地震に伴い、宮古島・八重山地方と沖縄本島地方に津波警報が発表された。県内に津波警報が発表されたのは東日本大震災以来13年ぶり。今年1月に発生した能登半島地震の記憶もあり県内では少なくとも2万6千人以上が避難した。一方、車で避難する人が多く交通渋滞が多発するなど各地で混乱が生じた。
アンケート結果によると、31自治体で高台避難に伴う交通渋滞が発生。徒歩避難の呼び掛けをしたのは6自治体だった。吉田補佐官は、要支援者だけ車で避難し他の人は徒歩で避難するのが原則だとして「今回、車よりも歩いて逃げた人の方が早かったことがはっきりした」と話した。
自由記述では、避難した乳幼児や高齢者への水分補給、津波避難ビルや避難所以外にも多くの人が避難したことで自治体の職員などが対応に追われたことなどの課題が挙げられた。防災担当職員が人事異動した直後で対応が取れなかったという自治体もあった。
ビーチなどの管理者を対象にしたアンケートでは、35団体のうち30団体で避難誘導を実施した。一方で避難訓練の実績があるのは15団体、毎年訓練をしているのは10団体にとどまった。
今後、県防災危機管理課が市町村を訪問して意見交換する。市町村に対して結果を共有し、避難情報発表の判断基準や伝達内容の多言語化、マニュアルの整備などを促す。
(沖田有吾)