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沖縄と台湾、相互理解へ 識者2人が有事回避へ議論 対日講和72年、那覇で講演会 沖縄


沖縄と台湾、相互理解へ 識者2人が有事回避へ議論 対日講和72年、那覇で講演会 沖縄 台湾・沖縄相互理解を深める講演会で劉彦甫さんや具志堅隆松さんの議論を聞く聴衆ら=28日、那覇市の安里カトリック教会
この記事を書いた人 Avatar photo 中村 万里子

 サンフランシスコ講和条約の発効から72年となる28日、那覇市の安里カトリック教会で「台湾・沖縄相互理解を深める」と題した講演会が開かれた。台湾人ジャーナリストと沖縄戦遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」の具志堅隆松さんが、米中対立に翻弄(ほんろう)される台湾と沖縄で軍備強化が進む状況について、双方の立場の違いや、「台湾有事」を防ぐための方策について意見を交わした。

 講演会は「カトリック平和委員会」などが主催し、約50人が集まった。

 東洋経済新報社記者で台湾人ジャーナリストの劉彦甫(リュウイェンフ)さんは「台湾の人たちは軍と基地によって戦場になるのを免れた歴史的経験がある。外交、経済と軍事的抑止を組み合わせ対中抑止を続ける限り、有事の可能性は極めて低い」と述べ、軍事力が中国の抑止につながるという考えを強調した。それに対し沖縄戦遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」の具志堅隆松さんは「軍事力によらない平和を構築していく必要がある」と訴えた。

 2人は、台湾と沖縄が「地政学的な重要性」ではない見方を構築する重要性についても意見を交わした。劉さんは「沖縄は共同体全体が沖縄戦という歴史的記憶を共有している。ただ、思っていることと伝わることは違う。沖縄の芯が通るような物語を組み立て、国際社会に発信することが重要ではないか」と提案した。沖縄の基地負担にも理解を示した上で、2人は異なる立場でも意見を交わしていく重要性で一致した。

(中村万里子)