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<記者コラム>慣れないことも大切に 高橋夏帆(暮らし報道グループ教育班)


<記者コラム>慣れないことも大切に 高橋夏帆(暮らし報道グループ教育班)
この記事を書いた人 Avatar photo 高橋 夏帆

 白い襟付きのシャツに黒い半ズボンやスカート。体育館で列をつくる小学生の服装は、県外で育ち、式は私服だった私にとって初めての光景だった。昨年4月、那覇市内の小学校の始業式を取材した時のこと。教育担当になって7日目で気持ちの余裕はなかったが、子どもたちの姿に驚いたことはよく覚えている。小学校からの帰り道、一緒に取材した写真記者から服装の名は「式服」だと教えてもらった。

 1年が経たった今年4月は始業式や終業式での式服着用を「原則として求めない」と決めた那覇市立識名小学校を取材した。着用機会が少ない一方で、児童の成長に合わせて何度も購入する、経済的な負担を考慮したためだ。学校に働き掛けた保護者の方に話を聞くと「私が子どもの時は着ていなかった」と言った。会社内でも式服の着用状況を聞いてみると、世代や地域によって知名度も着用頻度も異なった。今年は式服着用が必ずしも慣例ではないことに驚いた。

 式服着用自体を「こういうもの」だと思い込んでいたことにも気づいた。この1年、この土地での生活や取材にいち早く慣れたいがために思考停止していたのかもしれない。

 この春、教育担当も移住歴も「2年生」になった。これからも独特の文化や暮らしを知ることを大切にしたい。でも慣れすぎず、時には自分自身の驚きや発見を基に追求することも大事にしたい。