那覇市立識名小学校が4月から、始業式や終業式、修了式での式服着用を「原則として求めない」ことを決めた。児童らの式服は着用機会が少ない一方で、子どもの成長に合わせて何度も購入するケースもあり、各家庭の経済的な負担を考慮した。
8日に識名小体育館で開かれた新任式・始業式では、児童の大半が赤や青、水色などの私服だった。これまで通り式服を着た児童もおり、思い思いの服装で式に臨んだ。
県教育委員会や那覇市教委によると、式服着用を義務付ける規則はなく、運用は学校に委ねられている。学習指導要領では、入学式や始業式などの儀式的行事は「ふさわしい参加の仕方を理解し、規律や気品ある行動の仕方などを身につけるようにする」としており、県内の多くの学校では慣例として上は白、下は黒の式服を推奨してきた。
識名小の工藤直也・前校長(現城北小校長)は過去30年、那覇市や石垣市、久米島町と赴任したが「ほとんどが式服だった。3月に配布した城北小の学年だよりでも『式服登校』といった文言があった」と説明する。
識名小でも、これまで式服の着用を推奨してきたが、同校「PTSA」副会長で、子どもが同校に通うローウェン直子さんが昨年、式典時の服装を選択できることを当時校長だった工藤さんに求めた。PTSAは、PTAに会の趣旨に賛同する外部サポーターを加えた組織。
同校は今年2月の保護者向けのお知らせで、入学式や卒業式、音楽発表会など学校代表として学外行事に参加する場合を除いて、原則として式服着用を求めないことを伝えた。PTSAは着られなくなった式服を回収し、必要な人に配るリサイクルを校内で行った。
6年生の児童(11)は「一気に身長が伸びたことがあり、これまでに3回買い替えた。親の負担が少なくなる」と語った。別の6年生児童(11)は「好きな格好で新年度を迎えられるのがいい」と笑顔で話した。
工藤さんは「大切なのは服装でなく式に参加する時の気持ち。しっかりとした気持ちや態度で参加する方が重要」と話し、ローウェンさんは「当たり前を変えるきっかけになってほしい」と願う。
(高橋夏帆)