国と自治体でへき地校に補助
離島県沖縄では、船や航空機を乗り継がなくては修学旅行に行けない小中学校もある。先島地域を含む離島の自治体では国からの補助を得て、修学旅行費の保護者負担軽減に取り組んでいる。
補助は「高度へき地修学旅行費」の名目で行われ、へき地等級3~5の高度へき地校の児童・生徒が参加する修学旅行の経費のうち、交通費・宿泊費の2/3~1/ 2(自治体負担が1/2~1/3)を自治体に支給している。県内3市3町12村の小学校75校・中学校47校が補助対象となっている。
国からの補助項目は交通費・宿泊費となっているが、より手厚く補助を行っている自治体も。小中学校ともに修学旅行費全額を補助しているのが、与那国町、渡名喜村、座間味村、渡嘉敷村、多良間村、伊平屋村の1町5村。保護者負担は小遣いのみだ。与那国中は行き先が台湾なのでパスポート代も自己負担となる。
総額の1割程度を保護者負担としているのが伊江村、粟国村、北大東村だ。南大東村、伊是名村は交通費と宿泊費、食事代の実費分を補助している。
一律補助を行っている自治体は石垣市(中学生5万円、小学生1万7千円)、宮古島市(中学生7万2千円、小学生2万9千円)、久米島町(中学生8万円、小学生3万円)、竹富町(中学生12万9千円、小学生5万円)が挙げられる。
うるま市は高度へき地校に当たる津堅小中学校の児童生徒に対し、中学生10万円、小学生3万円を支給。久高小中学校は22年度に高度へき地校の指定を外れたが、南城市では23年度も中学生に上限3万円、小学生に上限1万円を補助している。
村内の一部学校が高度へき地校に該当する国頭村では、該当校だけでなく村内の児童生徒に対し、中学生5万6000円、小学生1万8000円を支給する。東村は高度へき地校の高江小児童にはバス代と宿泊費と施設使用料を、それ以外の小学校の児童にはバス代と施設使用料を、中学生にはバス代と施設使用料に加え1人一律1万円を補助している。
また、多くの自治体で補助を差し引いた額のみを保護者に請求し、負担軽減に努めている。
生活が厳しい世帯に補助も
生活の厳しい世帯向けの補助として「就学援助」がある。生活保護を受給する「要保護」世帯と自治体が生活保護に近い状態と認定した「準要保護」世帯が対象で、修学旅行費の一部を補助する。
2022年後の県内の就学援助率は23.63%。全国で2番目に受給率が高く、5人に1人が受給している。
就学援助での補助額は自治体によって異なる。補助の上限額を設定したり、交通費・宿泊費・見学料などの実費を補助するなどのさまざまだ。文部科学省が調査した2023年7月時点の県内自治体の修学旅行費の補助額は、小学校で上限5000円~2万2690円、中学校が5万円~7万円となっている。
修学旅行費の相場は小学校が2万円前後、中学校が8万円前後。中学校では就学援助を受給しても数万円単位で保護者負担が出る可能性がある。
また、一度保護者が全額支払った後、後日保護者に返還される「償還払い」で対応する自治体も多い。就学援助受給世帯からは「返金されるとはいえ、全額準備するのは厳しい」という声も漏れ聞こえる。
那覇市は就学援助の受給者に対し、修学旅行費として小学生に2万2690円、中学生に6万910円を上限に、事後、学校口座に振り込む。市の担当者は「保護者の持ち出しが少なくなるよう、学校と旅行社に調整をお願いしている」と話す。特に小学校の場合は、旅行費が補助を上回ることが少ないため、補助金支給まで支払いを待ってもらうこともあるそうだ。中学校についても、分割払いで対応してもらったり、限度額を差し引いた分を保護者から徴収し、補助分は支給後に支払うなど弾力的な運用をお願いしているという。
「他市町村も同様の対応をしていると聞く。旅行費が捻出できない場合、まず学校に相談してほしい」と話した。
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