学校生活で児童生徒が最も楽しみにしている行事のひとつに修学旅行がある。親元を離れ、見知らぬ場所で友人たちと過ごす数日は、大切な思い出となること間違いない。一方、その費用は一部自治体を除き、保護者の負担となる。家計で負担する教育費について取り上げるシリーズの最終回は、小中学校の修学旅行費について考える。
一括での支払い 月の生活費の半分以上
昨年10月末。本島南部の中学校で行われた修学旅行説明会。資料を見て女性=40代=はため息をついた。修学旅行は年明けに2泊3日で、京都、奈良、大阪を予定しており、費用は7万9200円。約1カ月後の12月上旬までに一括で納入するよう書かれていた。女性はシングルマザーで手取りは10万円以下。就学援助を受給しているため、旅費の一部は還付される。とはいえ「1カ月の生活費の半分以上に当たる8万円を一度に支払うのは大変だった」と振り返る。
旅程の目玉はユニバーサル・スタジオ・ジャパンでの自由時間。1日フリーパス入場券は旅費に含まれるが、現地での食事やお土産代は各自の小遣いから支払う。娘の同級生の母親らは学校指定の1万5千円の小遣いでは「足りないだろうから」と3万円は持たせるという。「同じグループなのに娘だけお金を気にして楽しめないのは申し訳ない」と、小遣いも3万円持たせた。
結局、就学援助で修学旅行費のうち6万円ほどが戻った。修学旅行の思い出を笑顔で語る娘を見て、費用の工面は大変だったが行かせて良かったと心から思う。しかし「一括で支払うのは本当に大変だった。支払いを一括か分割かで選べるようにしたり、就学援助を事前に支給して保護者負担を軽減する方法をとってほしい」と願う。
別の40代の女性は、中2の長男が修学旅行だった。修学旅行のために旅行用トランク、デジカメ、防寒対策に厚手の肌着も購入した。8万5千円の旅費と2万円の小遣い、このために購入した品の費用を合わせると13万円を超えた。「思った以上にかかった。長男が高2のときに、次男は中2となる。同じ年に2人分の修学旅行費を支払うのは大変。今から積み立てておかなくては」と眉をひそめる。
比べる!備える!家計から出る教育費 記事一覧
- (1)【制服リユース店の一覧表あり】中学入学時、制服や体育着など計10万円 リサイクル品は8割安も
- (2)幼小中高の学習費は最高水準 変える一歩は100円から
- (3)算数セット、習字セット、彫刻刀… 数回の利用で自宅に眠る
- (4)「子どもの夢」と「親の懐事情」 こんなにかかる!?義務教育後の教育資金
- (5)進むICT教育 1人1台購入、最大5万4000円 高校の学習端末
- (6)通学に「困る」 バス代負担、進学先選びに影響も 沖縄県の支援策とは
- (7)英検、数検、漢検・・・過熱する「検定ブーム」 検定料は右肩上がり 市町村ごとの補助はばらつき
- (8)国家試験「技能検定」受検料が6200円→1万5200円 高校生ら減免対象外に
- (9)「奨学金」が必要、何から始めれば? 沖縄の民間企業5団体が実施するものも
- (10)わが家に適した奨学金、どう選ぶ? 情報の入手先と注意点とは
- (11)一大イベントも、保護者にとっては大きな負担 行き先は中学校で九州、関西へ