ハトよりも小さいタカで、環境省レッドデータブックの絶滅危惧Ⅱ類のリュウキュウツミが、都市部の公園に巣を作り、繁殖するようになっている。
県鳥獣保護員の嵩原建二さんらが発信器を付けて調べたところ、行動圏は林よりも市街地や耕作地が中心と分かり、「都市鳥化」が裏付けられた。10~16日は愛鳥週間。身近な公園でリュウキュウツミが卵を抱えて温めている。
リュウキュウツミは、日本のタカ類で最も小さな一種。絶滅の危険が増しているとされるが、この20年ほど、那覇市や宜野湾市などの公園の木や街路樹での営巣が多数確認されるようになった。
公園や庭先に集まる鳥を狙って狩りをすることが都市進出の理由と考えられるが、行動圏ははっきりしていなかった。
嵩原さんらは、読谷村の座喜味城跡公園に巣を作ったリュウキュウツミの行動圏の解析を、3月発行のユンタンザミュージアム紀要46号に掲載。4年前、雄と雌のペアに重さ3・6グラムのGPS付きの発信器を背負わせて調べた。劣化すると切れる糸で結わえたという。
その結果、雄は5週間分、雌は9週間分のデータが得られた。行動圏を分析すると、雄は市街地34%、耕作地42%で、雌は市街地50%、耕作地24%だった。松林での活動は雄11%、雌22%と少なかった。
「電柱や民家などの高い建物を利用して獲物を探し、狩りをするようだ」と嵩原さん。保護策として、畑での農薬の使用抑制や、巣作りをすることが多いリュウキュウマツの植樹を挙げる。気が強く、人が巣に近づきすぎると攻撃してくることもあるという。
今年も同城跡公園や宜野湾市の公園で親鳥が抱卵をしている。愛鳥週間が終わる頃、ふ化するという。
(宮沢之祐)