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キリ学大で映画と意見交換 「慰安婦」苦しみの歴史知って 植民地、性暴力の問題共有 沖縄


キリ学大で映画と意見交換 「慰安婦」苦しみの歴史知って 植民地、性暴力の問題共有 沖縄 沖縄キリスト教学院大学・沖縄キリスト教短期大学(資料写真)
この記事を書いた人 Avatar photo 西田 悠

 1926年に朝鮮半島に生まれ、14歳で旧日本軍の「慰安婦」として連行された金福童(キムボクトン)さんの慰安婦問題解決に向けた活動を追ったドキュメンタリー映画「金福童」(宋元根(ソンウォングン)監督、2019年公開)の上映会が1日、沖縄YWCA主催で、西原町の沖縄キリスト教学院大で開かれた。約130人が会場に足を運び、植民地政策や性暴力の問題について考えを共有し合った。

 映画は、福童さんが日本軍の「慰安婦」だったことを名乗り出た1992年から、闘病の末に亡くなった2019年まで、日本政府に謝罪と賠償を求めた約27年間の闘いを振り返る。「慰安婦」被害者としての苦しみを抱えながらも、権力や差別者と対峙(たいじ)し、晩年に至るまで世界中での性暴力への反対を訴えた女性人権運動家の半生に迫った。

映画「金福童」上映後のアフタートークで意見交流する沖縄キリスト教学院大の(右から)蔵當日菜子さん、仲宗根智利さん、大城陽さんと金賢玉さんら=1日、西原町の沖縄キリスト教学院大

 上映後のアフタートークには沖縄キリスト教学院大4年生3人と、沖縄に「慰安婦」として連行され、戦後も沖縄に残った裴奉奇(ぺポンギ)さんの生活を支えた在沖朝鮮人の金賢玉(キムヒョノク)さんが登壇した。

 同学の蔵當日菜子さん(25)は、15年の日韓合意により日本から韓国への10億円の拠出があった一方、日本側から被害者への謝罪の道が閉ざされたことへの福童さんらの怒りに同調。「戦争が終わっても被害者の方々が心に負い続けた傷を考えると、お金で解決できる問題ではない」と訴えた。

 福童さんから「声を上げ続けることの大切さを感じた」と語るのは大城陽さん(21)。「慰安婦問題は人権問題。今後私たちが搾取されないために、自分の体を大切にしていく教育も大切」と性暴力の問題を自分事として捉え直した。

 仲宗根智利(ちえり)さん(21)は、高校教育無償化の対象から外された日本の朝鮮学校の生徒に福童さんが奨学金を贈った場面に目を向けた。「福童さんが学生一人一人ひとりに向き合っていた姿が印象に残った」とし、慰安婦問題について「私たちには今後同じことを起こさない社会をつくる責任がある」と述べた。

 金賢玉さんは裴奉奇さんの沖縄での暮らしを紹介しながら学生からの質問に答え、「一番大事なのは歴史を正しく知ること。平和は勝手に訪れない。つくらないと実現できない」と締めくくった。

 (西田悠)