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中国製とみられる漂着ブイ、もろい「ウリ型」2割増 微小プラ化しやすく、生態に深刻ダメージも 沖縄


中国製とみられる漂着ブイ、もろい「ウリ型」2割増 微小プラ化しやすく、生態に深刻ダメージも 沖縄 赤色のウリ型ブイが大量に漂着した与那国島アリシ岩礁海岸=3月22日撮影(山口氏提供)
この記事を書いた人 Avatar photo 小浜 早紀子

 宮古・八重山諸島の海岸に漂着する中国製とみられる廃プラスチック浮標(ブイ)のうち、赤や青など原色のウリ型タイプが前年比で2割増加したことが分かった。防衛大学校名誉教授の山口晴幸氏(75)=自然環境・環境地盤工学=が今春実施した調査で明らかになった。

山口晴幸氏(本人提供)

 ウリ型ブイには中国語の簡体文字が記された紙があり、中国製とみられる。構造のもろさから、マイクロプラスチック化しやすく、動植物の生態系に深刻なダメージを与える懸念があるという。山口氏は「島しょ部の海洋環境保全に向け、持続可能な仕組みづくりが必要だ」と訴えている。

 1998年から宮古・八重山地域で実態調査を継続している山口氏は、今回、2024年春の調査として3月13日~4月21日に、宮古島と池間島の8海岸(調査距離累計1.96キロメートル)と、石垣島と竹富島、黒島、小浜島、波照間島、西表島、与那国島の計7島41海岸(同20.87キロメートル)を回った。

 中国製とみられるブイは、宮古諸島で1216個(23年1310個)、八重山諸島で8713個(同1万1656個)確認された。そのうち、「ウリ型」と呼ばれるタイプは宮古諸島で726個(同573個)、八重山諸島では5518個(同4685個)の計6244個で、前年比で18.5%増加。ブイ全体に占める割合も前年の4割から6割に増えた。

 各地で海開きに向けた清掃活動が実施された跡もあったことから、山口氏は漂着実態はより多いとみる。

 ブイは海上での航路標識や係船に使用される。漂着したウリ型は赤や青の原色で、長さ約55センチ、幅約25センチ。中は空洞で軽量、構造がもろいのが特徴。黒潮の影響で県内離島に漂着、風に飛ばされて多くが海岸林に堆積し、劣化破損する。

 大きさ5ミリ以下のマイクロプラスチックになると海中の有害物質を吸収しやすく、生物がエサと間違えて摂取し、食物連鎖での影響拡大が懸念される。

 中国製の黒い球状ブイは代表的な漂着ごみの一つだが、山口氏によると22年前後から派手な色のウリ型が目立つようになったという。漂着ごみ対策には持続性が不可欠とした上で、山口氏は「行政機関を主体に、回収除去(清掃)体制を強化すべきだ」と話した。

 (小浜早紀子)