陸上自衛隊第15旅団(那覇市)が公式ホームページで、日本軍で沖縄戦を指揮した第32軍牛島満司令官の辞世の句を掲載している問題を巡り「ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会」の具志堅隆松共同代表は17日、県庁で記者会見を開き「抗議の返歌」を発表した。23日の「慰霊の日」の追悼式参列を予定している岸田文雄首相宛てにも渡し、「(牛島司令官の句は)受け入れがたい」という住民の気持ちを伝える意向を示した。
「秋待たで 枯れ行く島の 青草は 皇国の春に 甦らなむ」という牛島司令官の句への、抗議の返歌は琉歌にした。削除に応じない自衛隊に対し「ウチナーンチュの気持ちを、私たちが持っている独自の文化で返す」と考えたからだ。
「島ぬ青草や 皇軍が枯らち 戦(いく)さ枯骨(からぶに)や 土(みちゃ)になゆる」
歌意は「沖縄の住民は日本軍の戦争が滅ぼし、戦没者遺骨は土になっている」。住民を犠牲にした日本軍の責任を刻むとともに、戦没者遺骨が残る本島南部の土砂を名護市辺野古の新基地建設に使おうとしたり、再び軍事拠点化が進められたりしている「現在の危機」もにじませた。
牛島司令官の句の削除について、防衛省は15旅団の判断に委ねる考えを示している。具志堅氏は「上の命令に逆らえない組織が、果たして15旅団の判断だけで削除できるのか」と疑問視。戦没者遺骨の件で内閣府や防衛省と意見交換をする18日の会合で、岸田首相宛てに返歌を渡す考えだ。
(南彰)