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ごみ、環境問題から見えた世界の仕組み 「買い物ゲーム」など活動広がる リサイクル運動市民の会が40周年


ごみ、環境問題から見えた世界の仕組み 「買い物ゲーム」など活動広がる リサイクル運動市民の会が40周年 ごみの5分類分別収集を周知するため、パレットくもじ前でイベントを開き、資源ごみを持ち寄った=1991年(沖縄リサイクル運動市民の会提供)
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 県内の市民運動を先導してきた老舗団体「沖縄リサイクル運動市民の会」(那覇市)がことし設立40周年を迎えた。代表の古我知浩さん(68)は、活動の原点を振り返り「息苦しさや矛盾のない場所を求める、自分の居場所、みんなの居場所づくりだった」と話した。

 古我知さんは大学生時代に稼ぎながら世界を長く旅し、卒業後は沖縄から集団就職が多かった東京で働いた。海外では貧富の格差や人種差別に直面。東京では、若いウチナーンチュが周囲の支えも乏しい中で現地になじめず起こす事件に出合い、裁判所や拘置所に通って手助けした。「生まれた場所が違うだけで、なんでこんなに違うのか」。人の尊厳を奪う社会の構造に強い疑問を感じていた。

 「人や自然を大切に、自分らしい生き方ができるのは八百屋かちり紙交換か」と考え、始めたのが古紙回収。高度経済成長で円が強く、海外から安く大量に輸入して使い捨てて経済発展するという時代に「少しでもあらがえるかも」とリサイクルの勉強を始めた。

 ごみとその処理には、その地域や世界の経済や社会の仕組みが如実に表れる。使った後のごみを誰が処理するのか、資源をどう循環させるのか、面白さに取りつかれた。地域の子どもや母親たち、行政や企業など多様な人と対話を重ね、不要品の回収と再販売、分別、環境問題を考える「買い物ゲーム」を開発、離島からの廃棄物搬出と数々の事業を手がけた。

イベントへの参加を呼び掛ける沖縄リサイクル運動市民の会の古我知浩さん(右)と福岡智子さん

 大切にしたのは市民や行政、企業が役割分担をする仕組みと、仕組みが動き出すための関係性づくりだ。古我知さんの公私での長いパートナー、福岡智子さんは「ひとりぼっちじゃ続かない。顔を合わせ一緒に作業する中で共感し合い、次のアイデアが生まれる。現場の中で生まれてきた」と振り返った。

 40周年記念プロジェクトが29日、那覇市の那覇セントラルホテルで開かれる。午前9時半~11時半はトークセッションで参加費2千円。学生、18歳未満は無料。午後0時半~3時は大交流会で飲食代込み1万円。参加希望者は直接会場まで。