【動画あり】アジサシ類 順調に繁殖 屋我地の保護区、環境省調査 名護市 沖縄


【動画あり】アジサシ類 順調に繁殖 屋我地の保護区、環境省調査 名護市 沖縄 屋我地島周辺で子育てをするベニアジサシとエリグロアジサシ。中央にはエリグロアジサシのひなも姿を見せた=5日午後、名護市の屋我地島周辺
この記事を書いた人 Avatar photo 池田 哲平

 【名護】環境省沖縄奄美自然環境事務所などは5日、国指定屋我地鳥獣保護区と周辺海域で、絶滅危惧種のベニアジサシ、エリグロアジサシの繁殖状況調査を実施した。昨年は台風などの影響で、営巣がほとんど確認できなかったが、今年は屋我地島周辺の海域で、多くのアジサシ類が巣をつくっていることが確認された。岩の間に出てきて頭をひょっこりと上げ下げする、かわいらしいひなの姿も見ることができた。

 両種ともに、環境省のレッドリストで「絶滅の危険が増大している種」を指す絶滅危惧II類(VU)に分類されている。毎年5月ごろにオーストラリアや東南アジアから渡ってきて、屋我地鳥獣保護区周辺で産卵、子育てをしている。

 5日の調査では、ベニアジサシ106羽と、50の巣、ひな13羽が3カ所の岩礁などで確認された。エリグロアジサシは50羽と24の巣、ひな20羽が9カ所の岩礁などで確認された。調査には同保護区管理員の渡久地豊さん、井ノ口彰良さんも同行し、調査した。

 渡久地さんによると、周辺の岩礁では釣り人が岩礁に上陸したことで、多くの鳥が子育てに失敗した事例も起こっているという。同日は、繁殖が確認された岩礁にロープと案内板を設置し、上陸しないよう呼び掛ける作業も実施した。名護市の小中一貫校の屋我地ひるぎ学園5年生も総合学習で保全活動に取り組んでおり、5日午前もアジサシ類の繁殖状況を見学した。

 今年の繁殖状況について、沖縄奄美自然保護官事務所の北橋義明所長は「現時点では平年並みに順調に繁殖をしている。今後も人為的な影響を防ぎ、いい繁殖環境を守っていきたい」と話した。
 (池田哲平)