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【識者】環境アセス「配慮書」趣旨とズレ 全体的な影響の評価を 田代豊氏(名桜大教授)


【識者】環境アセス「配慮書」趣旨とズレ 全体的な影響の評価を 田代豊氏(名桜大教授) 田代豊氏
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 今回の軍港移設についての環境影響評価(アセスメント)配慮書は、立地などで複数案を示すのではなく単一案となっている。立地などが決定する前の段階から環境影響評価を始めるという配慮書の制度の趣旨からすると、あまり意味がない。

 配慮書の段階なので、計画段階配慮事項の選定理由などについて記載したカ所で、対象とする影響要因を「土地又は工作物」と限定している。事業が終わった後に存在する軍港を評価の対象とするという意味だが、例えば同じ海上工事の辺野古でも、工事によって海が濁ることの影響などが問題視されている。工事の過程で発生する影響は軽視できないはずで、今後の方法書などの段階では工事を要因とする影響についてしっかりと検討する必要がある。

 今回は軍港のアセスだが、現場の海域では民港の造成も予定されている。立地地域に予測される環境への影響を明らかにするという趣旨からすると、全体的な影響に対する評価がアセスメントの中で検討されるべきだ。

 (環境化学)