少女に性的暴行を加えたなどとして、不同意性交などの罪に問われている米軍嘉手納基地所属の被告(25)の初公判が12日、那覇地裁で開かれた。米兵による性犯罪事案が相次いで発覚する中、傍聴抽選には260人超が並び、関心の高さをうかがわせた。焦点となった罪状認否で無罪を訴えると、法廷がざわめいた。被告が言葉を発する場面はこの日は限られた。傍聴した人たちなどからは、次回公判に出廷予定の被害少女をおもんぱかる声が聞こえた。
「アイム・ノット・ギルティ(私は無罪だ)」。12日午後2時45分ごろ、全32席が埋まった那覇地裁204号法廷。白い長袖のワイシャツと黒いズボンで公判に臨んだ被告が、裁判官席をまっすぐ見据えてそう告げると、法廷内の報道陣があわただしく席を立っていった。
満席の傍聴席からの注目を一身に浴びた被告。公判中は表情の変化はほぼなかった。検察官が証拠説明で映像を流す場面では、映像が流れるモニターをじっと見詰めながら、しきりに左手であごやくちびるを触ったり、人さし指で机をたたいたりしていた。
次回日程を確認し、約45分の初公判が終わった。佐藤哲郎裁判長は傍聴人に許可なく席を立たないよう求め、被告は足早に法廷から立ち去った。
弁護人や検察官らも退廷し、裁判長が傍聴人に席を立つことを認めたのは、被告が席を立った約5分後。その間、保釈中の被告の姿を捉えようと地裁周辺に待機していた報道陣を避けるように、地裁に隣接する那覇家庭裁判所の駐車場から、紙のような物で顔を隠した、白いワイシャツ姿の人物が乗ったワゴン車が走り去った。