12日に那覇地裁で開かれた米兵少女誘拐暴行事件の初公判では、32席の傍聴席に対し8倍を超える264人が並んだ。傍聴券を手に法廷内に入った人たちは、静かな怒りをもって公判を見届けた。傍聴券の抽選に外れた人からは、事件の真相が明らかになることを望む声が上がった。
傍聴席には、米兵の事件に抗議を続けてきた女性団体関係者の姿が目立った。性暴力や女性が抱える問題を考える、任意団体「エンパワメント・ラボ・おきなわ」共同代表で沖大名誉教授の宮城公子さんは「これまで米兵の事件の公判に何度も傍聴に足を運んでいるが、犯罪を抑えられない現状に無力感も感じる。でも諦める訳にはいかない。自分が生きているうちに終わらせたい」と決意を新たにした。
「基地・軍隊を許さない行動する女たちの会」共同代表で前参院議員の糸数慶子さんも傍聴した。被害者に年齢確認をしたという被告の主張に「(検察側の冒頭陳述では)ジェスチャーを交えてという表現もあった。十分な会話は成り立っていないのではないか」と疑問を呈す。次回以降の公判では、被害者やその家族への最大限の配慮を望む。被害者の少女に「あなたは一切悪くない。みんなあなたのことを気に掛けていると伝えたい」と話した。
中城村から那覇地裁を訪れた上江洲由弥さん(39)は報道で事件を知り「県内でまた起こってしまったのか」と怒りと落胆を感じ、母親と列に並んだ。傍聴券には当たらなかったが「再発防止のためにも、起きてしまったことを多くの市民が知る機会は必要だと思う」と今後の公判で真相が明らかになることを望んだ。
(慶田城七瀬、西田悠)