<訃報>島武己さん死去 壺屋焼「琉球南蛮」の第一人者 81歳


<訃報>島武己さん死去 壺屋焼「琉球南蛮」の第一人者 81歳
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 陶芸家の島武己(しま・たけみ)さんが10日、病気療養中のところ本部町の自宅で死去した。81歳。本部町渡久地出身。自宅は本部町健堅。告別式は24日、本部町の本部町葬斎場で執り行われた。喪主は従弟武夫(たけお)さんが務めた。

 島さんは壺屋焼の中でも、無釉で焼き締める琉球南蛮(荒焼)の第一人者として知られ、長年、古窯の研究にも取り組んだ。1960年代に小橋川永昌さんに師事し、61年沖展奨励賞を受賞。70年頃から陶磁研究者・小山冨士夫さんが主宰する南蛮研究にも参画した。焼締陶器の表皮を削って内側の窯変を磨き出すなど、陶芸の常識を超える作品を多数発表した。

 島さんとは40年にわたる交流があり、県内最大規模の島コレクションを有する佐喜眞美術館の佐喜眞道夫館長は「まさに沖縄陶芸界の鬼才だった」と故人をしのぶ。島さんが手にかけた作品はどれも、大地から湧き出るエネルギーのような力強さがあり、自然への敬意がにじみ出ていると指摘する。その上で「人生をかけて作陶に命を注いだ希有な人だった。彼が残してくれた沖縄の宝を、今後も美術館で大切に保管・展示していきたい」と述べた。

(当銘千絵)