沖縄県立中部病院は、研修医を診療所に派遣することで沖縄の離島医療を担ってきた。「へき地で働ける能力を備えた医師を養成するのが使命」と臨床研修センター長の尾原晴雄医師。幅広い実践を積めることが評価され、全国から研修医が集う。病院建て替えの臨床研修への影響が注視される。
同病院は、医学部卒業後の臨床研修の場として人気が高く、「東の聖路加国際病院、西の中部病院」と評される。全科の知識を兼ね備え、「断らない、逃げない」医師を育てるノウハウを培ってきた。臨床研修の後半となる専門研修の一環で、離島で一人、診療所を担う機会もある。16ある県立の離島診療所のうち12の診療所が、同病院ゆかりの医師という。
近年は各地の病院が臨床研修プログラムを重視しており、人材確保は大きな課題だ。1年目の研修医の定員28人に、毎年約3倍の応募があるが、選ばれるために設備の更新も欠かせない。建て替え工事中も、救急など医療実践の機会の継続は不可欠だ。 (宮沢之祐)