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県立中部病院、現地建て替えか、移転か 沖縄県と病院の構想に相違 県議会が視察へ


県立中部病院、現地建て替えか、移転か 沖縄県と病院の構想に相違 県議会が視察へ 中部医療圏域で最大の病床数を有し、救急や災害医療の中核を担う県立中部病院
この記事を書いた人 Avatar photo 宮沢 之祐

 県立中部病院(うるま市)の建て替えに関して、耐震基準を満たしていない南病棟を先に取り壊し、10年半の工期で2034年度末までに現地で建て替える将来構想案を県病院事業局が示している。しかし、現地建て替えを進める本竹秀光病院事業局長と、移転を求める玉城和光院長との意見の相違が鮮明になっており、県議会文教厚生委員会同委員会は7月29日、現地の視察調査を実施することを決めた。

 同病院は、1981年に建った南病棟が耐震基準を満たしていない。全体的にも手狭で、建て替えを検討。医療関係者らによる将来構想検討委員会で「南病棟の耐震化を最優先に」との意見が大勢を占めたとして、本竹局長が現地での建て替えが最適と判断した。

 将来構想案によると、現地建て替えの場合、南病棟の増改築工事を28~30年度に実施。32~34年度に残りの工事をする。

 移転の場合も、用地確定にかかる期間を含めて34年度末までに新病棟を完成させる。この場合、南病棟を34年度末まで使うことになる。いずれの工程も基本計画の内容次第で変わるという。

 29日の委員会では、玉城院長が「離島の医療を担う研修医を確保し、育てるためにも最新のテクノロジーを入れたい」と広い敷地での建て替えを主張。「現地だと工事中に救急など医療機能が低下する。経営的にも厳しくなる」と説明した。

 これに対し本竹局長は「院長はマイナスを強調されるが、工事中も医療機能は落とさない」と反論した。

 同委は9月に同病院を訪ね、病院側の意見を聞くとともに、うるま市長が移転先として提案している同市上江洲・仲嶺地区も視察調査する。

(宮沢之祐)