小児科の「夜間診療」始動、往診も 39歳の院長、2人の子育てに追われながらも「患者に寄り添う」 沖縄・那覇


小児科の「夜間診療」始動、往診も 39歳の院長、2人の子育てに追われながらも「患者に寄り添う」 沖縄・那覇 小児科の専門クリニック「ドクターカミング」の知花愛里院長=6月29日、那覇市国場
この記事を書いた人 Avatar photo 安里 洋輔

 県内で小児医療体制の逼迫(ひっぱく)が指摘される中、小児科の専門クリニック「ドクターカミング」が7月から那覇市国場に開院した。小児科専科としては、県内では数少ない夜間の外来も受け付け、小児救急医療の改善にもつなげたい考えだ。始動から1年となる小児科医の往診サービスを展開する県内の医師らが立ち上げた。院長の知花愛里さん(39)は「一人でも多くの患者さんに寄り添っていけたら」と目を輝かせた。

 「子育て中の母親にとって夜に子どもを診てくれる病院を探すのがいかに大変か。身に染みて分かっているからこそ、力になりたいと思った」

 開業準備中のクリニックで6月、取材に応じた知花さんはかみしめるように語った。小児科医として忙しい日々を送る一方、子ども2人の子育てにも追われる。医療現場でも家庭でも、県内の小児科救急が置かれる厳しい状況を目の当たりにしてきただけに、7月1日に開院したクリニックへの思いは強い。

 診察時間は平日午後1時から同9時まで。非常勤も含めた4人の小児科医で、県内の小児科専科のある医療機関の多くが対応できていない夜間外来も受け入れる。現在は看護師らスタッフを追加募集し、さらなる体制の充実を目指す。

 クリニックが休診となる火、金曜日、診察時間が限定される土、日、祝日は、2023年7月から展開を始めたクリニックと同名の往診サービスも行っている。

 スタッフをまとめる知花さんの念頭にあるのは、県内の小児医療体制の逼迫だ。「夜間外来の受け入れ先がないために救急外来に駆け込まざるを得ないケースが目立つ」と知花さん。人口当たりの小児科医の数が全国44位と、県内の深刻な小児科医不足が背景にある。

 この問題を巡っては玉城デニー知事らが6月26日、県民の協力を呼びかけた。知花さんは「軽症の患者さんを私たちのクリニックが受け入れることで、救急外来の負担が緩和される。必要な医療を必要な人に届けることができるようになる」と問題改善の一助になることを期待する。

 共働きやシングルマザーの家庭が多い県内事情も踏まえ、知花さんは「子どもさんだけでなく、負担を抱えがちな親御さんにも寄り添えるクリニックにしていきたい」と力を込めた。問い合わせは、電話098(995)6644。

 (安里洋輔)