「綱渡り」の診療状況も…沖縄で小児救急ひっ迫 県と医師会、県民に協力呼びかけ


「綱渡り」の診療状況も…沖縄で小児救急ひっ迫 県と医師会、県民に協力呼びかけ
この記事を書いた人 Avatar photo 宮沢 之祐

 県内で夜間の救急外来が混雑し、緊急の処置が必要な患者への対応が遅れる心配が強まり、玉城デニー知事や県医師会の田名毅会長はじめ医療関係者らが26日、小児救急医療体制を守るための県民の協力を県庁で呼びかけた。各公立病院の院長や小児科部長らもオンラインで参加する異例の記者会見で、かかりつけ医や子ども医療電話相談(♯8000)の利用などを訴えた。

 県内に26ある救急病院の時間外受診者数は、1病院当たり7034人(2021年度)と都道府県別では最多で、突出して多い。また、県内の救急病院の小児救急患者は4万2031人(同年度)で、そのうち入院したのは7・9%だった。

 県病院事務局によると、戦後の医師不足の影響で、どんな患者も県立病院で受け入れてきた経緯があり、「比較的軽症の人が救急外来を受診している」と分析。人口当たりの小児科医の数は全国44位で「小児科医が疲弊して県外に出て行く現状がある」と指摘した。

 県立中部病院の玉城和光院長は、小児科の当直医4人が他の救急医に支えられ、綱渡りで診療していることを説明した。

 田名会長は、診療時間内のかかりつけ医の活用や、子ども医療電話相談の利用を呼びかけた。また、子どもを受診させるために親が仕事を休むことについての職場の理解を訴えた。

 玉城知事も「子育てしやすい環境に協力を」と述べ、県小児保健協会のホームページからダウンロードできる「子ども救急ハンドブック」の活用を呼びかけた。

(宮沢之祐)