昼は病院、夜は「町の自習室」に 医大生も“助っ人” 那覇のクリニック「将来切り開いて」 沖縄


昼は病院、夜は「町の自習室」に 医大生も“助っ人” 那覇のクリニック「将来切り開いて」 沖縄 「学ぶことで将来を切り開いて」と語る田名彩子さん(右)=19日、同クリニック
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 受験シーズンまっただ中。県立図書館の臨時休館を受けて、自宅以外での学習スペースの確保に注目が集まる中、那覇市松川の首里城下町クリニック第一では、4年ほど前から診察後の待合室を「町の自習室」として開放している。中高生の学びを支えようと保健師の田名彩子さん(59)が開き、現役医大生による学習支援や食事提供もする。昼は医療を、夜は学びの場を地域住民に届けている。

 19日夜、診察が終わったクリニック2階の待合室では、地元の中高生ら約30人が学校の宿題や入試対策の教材を広げて勉強に励んでいた。通い始めて4年目になる開邦高2年の生徒(17)は「うるさすぎず静かすぎないので集中できる。ここで成績を上げて大学入試に備えたい」と語る。

 町の自習室は月曜日と水曜日の週2回、午後6~9時半に無償で開放している。対象は中高生。琉球大医学部の学生も学習支援ボランティアとして生徒からの質問に答え、学習法をアドバイスする。

 以前、クリニックの近隣には学習塾が数カ所あったが、閉鎖に伴い通りが閑散としてきた。田名さんは「夜間のクリニックを有効活用したい」との思いから2019年9月に自習室を開設した。

 希望者には温かい夕飯を一食100円で提供している。食事は院内にある料理教室の調理場で職員がこしらえる。学習支援は夫で同クリニック院長の田名毅さん(58)が学生時に所属していた研究会の後輩に依頼した。

 最近は利用者同士で教え合うなど、交流の場にもなっている。琉大医学部5年の学生(24)は「自分の時もこんな場所が欲しかった。勉強の質問や学校での悩みを打ち明けてくれる生徒もいる」と話す。

 田名彩子さんは「週2回はいつでも電気が付いていて、安心して学べる場所であり続けたい。学びを通じて自分自身の将来を切り開いてほしい」と願う。これからも、夜の町と子どもの未来を照らす。

 (高橋夏帆)