広島原爆の日の6日にあわせ、広島を訪れていた沖縄高校生平和ゼミナールの中高生3人と支援者らが12日、那覇市内で集い、体験を振り返った。3人は、核兵器と戦争のない世界を実現するために全国の高校生と意見を交わす集会や、核兵器禁止条約への日本政府の批准を求める署名活動に参加した。日米の軍事強化が進み避難訓練が行われている沖縄の現状も紹介した。
原水爆禁止世界大会に登壇し、「今、沖縄は日本で最も戦争と核兵器の脅威にさらされている」と訴えた盛口海さん=高校3年=は「全国の高校生たちと意見交換し、沖縄のことも知ってもらえて一歩前進できた」と手応えを語った。
3人が参加した「第51回全国高校生平和集会」では、分科会「日本国憲法と基地問題を考えよう」で沖縄戦や米軍基地から派生する問題、先島諸島の自衛隊増強が進む状況などを説明した。
県外の高校生たちからは、沖縄で武力攻撃を想定した避難訓練が行われていることを「知らなかった」といった声が多く、政府が戦争しないようにではなく、戦争した場合の対策をしていることや防衛費増額への疑問の声が上がったという。 「他県は沖縄の現状を全く知らない」と実感を深めた一方、米国の“核の傘”にいる日本が核兵器禁止条約に批准できない状況と重ね、盛口さんは「広島の高校生たちも政府に自分たちの意見が聞き入れられず、同じように悩んでいた。まずは知り、諦めずに伝え続けることが大事だと確認できた」と振り返った。
3人は広島平和記念資料館を訪れ、被ばく体験者らの話も聞いた。上原諒さん=中学1年=は「破れて溶けた子ども服の展示を見て、自分より小さいのに悲惨な目に遭ったのだと苦しくなった」と振り返った。西江めぐみさん=中学2年=らは、第五福竜丸の無線長で被ばくから約半年後に亡くなった静岡県の久保山愛吉さんが自宅で育てたバラの挿し木をもらい、南城市のバラ園で開花したバラを押し花にした作品を静岡県の高校生らに贈った。「静岡に返せてうれしかった」とほほえんだ。
(中村万里子)