米兵少女誘拐暴行事件の第2回公判で、被害少女が米兵からの性的暴行に対して「止めて」「ストップ」と抵抗の意思を示したことや、実年齢を明確に告げたことを法廷で証言した。被告側は「18歳」と誤信し、性的行為の合意があったと主張しており、少女の証言が検察側の起訴事実の立証の鍵となりそうだ。
証人尋問は長時間に及んだ。少女は証言台で時折声を詰まらせながら、検察官や被告側の弁護士からの質問に終始はっきりとした口調で答えた。被告側は検察や県警の調書内容との矛盾点を執拗(しつよう)に指摘したが、少女は動揺するそぶりを見せず慎重に応じた。
検察側の質問では「スクールカウンセラーを目指す」と述べるなど、逆境に立ち向かう姿勢も見せた。
ただ被害者保護の観点では疑問も残る。性被害事件の公判では、被害者の負担を考慮して別室からの音声や映像でやり取りする「ビデオリンク方式」が採用されることが多いが、地検は今回、少女を出廷させた。証人申請した地検側から十分な説明があったかは判然としない。事件後、自傷行為を繰り返すなど心の傷の深さをうかがわせる証言もあった。つらい記憶と向き合った少女へのケアが急務だ。
(安里洋輔)