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大賞に「金武湾闘争史」 日本自費出版文化賞 CTS建設反対の歴史つぶさに 沖縄から3作品受賞


大賞に「金武湾闘争史」 日本自費出版文化賞 CTS建設反対の歴史つぶさに 沖縄から3作品受賞 2023年9月刊行の「海と大地と共同の力 反CTS金武湾闘争史」
この記事を書いた人 Avatar photo 当銘 千絵

 第27回日本自費出版文化賞(日本グラフィックサービス工業会主催)の各賞が5日発表され、応募総数719点の中から、大賞に地域文化部門に応募した金武湾闘争史編集刊行委員会の「海と大地と共同の力 反CTS金武湾闘争史」(ゆい出版)が選ばれた。県内から大賞が選ばれたのは、2000年に石垣市の大浜永丞さんと永亘さん親子が同時受賞した第3回大会以来3例目。

 金武湾闘争史は、1970~80年代に金武湾を埋め立て、巨大な石油備蓄基地(CTS)を建設する県の大規模開発計画に対し、地元住民らで結成した「金武湾を守る会」を中心とした住民運動の歴史をつぶさに記録した。一連の運動を巡っては、CTSの建設阻止はかなわなかったものの、沖縄では初とみられる反公害闘争を住民たちが政党など組織に頼らず自立して取り組んだことなどが評価されている。

 「守る会」の顧問で、同書の刊行委員会共同代表を務めた池宮城紀夫弁護士は「金武湾闘争は復帰後の自然環境を守るという市民運動の原点。改めて評価され感無量だ」と喜びの胸中を語った。その上で、民意を無視し国が強行する辺野古新基地建設を例に挙げ「現在の住民運動にも通ずるものがたくさんあるはずなので、書籍から学んでほしい」と述べた。

 県内からは他に、新設された色川大吉賞に野ざらし延男さんの「俳句の地平を拓く―沖縄から俳句文学の自立を問う―」(研究評論部門)、部門入賞作品に仲村渠ハツさんの「辺野古バスに乗って」(小説)が選出された。  

(当銘千絵)