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活字文化、まちぐゎーから開く 那覇・栄町に共同書店準備 つながりの場「店主」を募集 沖縄


活字文化、まちぐゎーから開く 那覇・栄町に共同書店準備 つながりの場「店主」を募集 沖縄 「栄町共同書店」が入る店舗(同書店提供)
この記事を書いた人 Avatar photo 小浜 早紀子

 街中から書店が消えゆく今こそ、自分たちの手でつくり、育もう―。シェア型書店とメンバー全員が主役になる協同労働を掛け合わせた「栄町共同書店」が10月上旬、那覇市安里の栄町市場にオープンする。発起人は、沖縄と東京を拠点にする研究者と編集者、アーティストの6人。共同売店の文化を有する沖縄の地から「古くて新しい書店」を発信、つながりの場を目指す。

 開業を前に、26日から箱店主を募るクラウドファンディング(CF)が始まる。

 シェア型書店は、書店の本棚を各サイズに分割、区画を借りた個人や法人が、思い思いの本を並べて販売する。

 発起人のうち、沖縄戦後史研究者の古波藏契さんと編集者の篠田恵さん、都市史研究者の藤原玄明さんが、東京・高円寺のシェア型書店「本の長屋」に携わった経験から、那覇市内での立ち上げを目指した。

 「人情味あふれた、共同体社会。異なる考えのまま共生する力が弱まっていると感じる」。沖縄出身の古波藏さんは、那覇に着目した点をそう説明する。1906年、国頭村で生まれた共同売店の文化が薄らぐ中、各本棚の選書を軸に、交流や議論、他者への想像力を養う機会など「開かれた場づくり」を構想する。

 店舗を置く栄町市場内は面積が狭く、店舗同士の共有スペースがあることから、「互いに協力が必要な環境が、今回のコンセプトに重なった」と藤原さん。

 コンセプトの具体化として、同書店の最大の特徴でもある、メンバー全員が出資し、意見・運営する「労働者協同組合」の組織形態採用にもつながった。25日現在、古波藏さんを代表理事に「栄町労働者協同組合」として登記申請中だ。

 CFは、ウェブサイト「キャンプファイヤー」で26日正午に開始。区画約60個の「箱店主」を募集する。8月10日には同書店前でプレオープンイベントを実施。箱店主に関する相談受け付けのほか、発起人らの蔵書・作品販売などを行う。

 発起人らは「箱店主も来店者もメンバーのひとり。交流できる場づくりに参加してほしい」と呼びかけた。

 (小浜早紀子)


労働者協同組合(労協)

働き手が自ら出資して、労働契約を結び、地域や社会に必要な仕事を創出、意見を出し合い運営する。長らく根拠法がなかったが、2022年10月に「労働者協同組合法」が施行。3人以上の発起人など要件を満たして登記すれば、行政の許認可なしで法人格を取得できる。県内では、同年11月に宮古島市平良狩俣で初めて設立された。