那覇市久茂地のデパートリウボウ7階にある書店「リブロ リウボウブックセンター店」が31日、閉店した。最終日は看板や店内を撮影したり、本を買ったりする客でにぎわった。営業終了の午後8時、店員らが「長い間ありがとうございました」と言って頭を下げると、立ち会った約30人の客らは拍手でねぎらった。那覇市の中心地で県民や観光客に親しまれた書店が、21年の歴史に幕を下ろした。
1991年4月のパレットくもじ開業時に入居していたのは県内大手書店「文教図書」。リブロは2003年5月に営業譲渡を受けた。中心地の書店として県産本やビジネス書、雑誌などを取りそろえた。
北谷町の夫婦は閉店を知り足を運んだ。文教図書の頃から本を買ってきたという妻(50)は「沖縄の書籍文化を支える場所がなくなるのはさみしい」と語った。
閉店を受け、出版業界や文学界の関係者からも惜しむ声が聞かれた。ボーダーインク編集者の新城和博さんは、県外資本のリブロが営業譲渡を受けた時、「郷土本コーナー」がどうなるか心配だったが、県民に寄り添った商品展開を維持し、地元出版社との交流も大切にしてくれたと振り返る。「閉店のショックは大きいが、今後も多くの方に県産本が届けられるよう方策を考えたい」と述べた。
沖縄文学界で活躍する作家で詩人の大城貞俊さんも、リブロには自身の著書を置いてもらったといい「全国で書店閉店のニュースが相次ぐが、実店舗にしか担えない役割がたくさんある。残念でならない」と述べた。
(狩俣悠喜、当銘千絵)