県こども若者政策課は11日、中学卒業時の進路未決定者や高校中退者を対象に、相談員らが聞き取りをした初めての調査の報告書を発表した。
居場所施設につながることで、自分の将来について「目標の定まり・目標に向けた前進」を挙げる回答が3倍に。義務教育を終え、支援のはざまに陥りがちな青少年だが、適切な相談体制があれば、自己肯定感の回復につながることをうかがわせる結果となった。
学校や雇用から距離を置く生活の実態や、支援の要望を把握し、効果的な政策につなげるのが目的。調査業務を担う事業者に委託し、昨年11月~今年3月に実施した。進学も就職も決まらずに中学を卒業したか、高校を中退した16~20歳の76人が回答した。
回答者の大半は、公立の居場所施設や福祉関係施設を利用している。施設の利用前は、自らの将来への期待を「特になし」とする回答が30・3%に上ったが、施設利用後は10・5%に激減。一方で「目標の定まり・目標に向けた前進」との回答は利用前の3倍に、「就職・自立」は2倍に増えた。
今後必要とする支援策については、全体の40・8%が「就労支援」を挙げた。
中学卒業時の進路未決定者は昨年度で235人、高校中退は年間約1000人に上る。調査に携わった本村真琉球大学教授は「居場所施設の効果が明らかになった。ただし支援につながっていない若者が何倍もいる。そうした人も含めた政策を展開しなければいけない」と指摘した。
(宮沢之祐)