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沖縄の若手俳優たちが演じる「平和劇」、12月までロングラン公演 「臨場感味わい自分事に」


沖縄の若手俳優たちが演じる「平和劇」、12月までロングラン公演 「臨場感味わい自分事に」 6月に上演された「平和劇」の一場面=6月23日、那覇市
この記事を書いた人 Avatar photo 田吹 遥子

 沖縄戦体験者の証言を基に県内の若手俳優らが演じる「平和劇」が10月2日から12月21日まで、糸満市の県平和祈念資料館内の平和祈念ホールなどでロングラン上演される。作と演出を手がけた永田健作さん(42)は「平和学習がイベントごとではなく、日常になれば」と開催の意義を語った。

 平和劇の上演は、2021年から県内の中学校などで始めている。今年は全国ツアーで千葉、長崎、広島を回り、6月23日に沖縄公演を開いた。ロングラン公演は、県などの支援で開催する。

 演劇は、糸満のガマの中を舞台に、避難した親子や身分を隠した日本兵らのやり取りを描く。永田さんは沖縄戦を演劇で表現することについて「目の前で喜怒哀楽が繰り広げられる演劇は臨場感があり、戦争や平和を自分事としてとらえるには効果的だと感じた」と語る。

「平和劇」の出演者ら=6日、那覇市(永田さん提供)

 上演では、劇の前に永田さんによる歴史と沖縄戦に関する解説があるのが特徴だ。中学校での公演時に永田さん自身と生徒とで事前知識に差があると感じたことがきっかけだという。「沖縄は明るいイメージが伝わっているが、忘れてはいけない悲しい歴史もある。悲しい歴史も(明るいイメージ)と同じ熱量で伝えないとゆがんでいくのでは」と危機感を持つ。

 来年1月には、クラウドファンディングで集まった資金を運営費用に、東京、大阪、北海道での公演も予定する。「沖縄のことを伝えることと同時に相手の痛み(上演地の歴史)を知ることが大事だと思う」とも話す。

 3カ月間にわたる上演に、永田さんは「戦争は日常生活の中で進んでいった。平和学習も慰霊の日前後だけなど“瞬間風速”的なものではなく、日常になるようにしたい」と意気込んだ。

 上演日時は10月2、12、16、26、30日、11月9、13、23、27日、12月7、11、21日。午前11時と午後2時の2回公演。入場無料。問い合わせは「沖縄戦と平和劇」実行委員会、電話080(6486)3529。

 (田吹遥子)