沖縄の水道いつ誕生したの? 水確保の苦労をたどる企画展 県公文書館で始まる  


沖縄の水道いつ誕生したの? 水確保の苦労をたどる企画展 県公文書館で始まる   所蔵資料展「水と生きる沖縄」の企画を担当した公文書専門員の西山絵里子さん=24日、南風原町の県公文書館
この記事を書いた人 Avatar photo 慶田城 七瀬

 水不足やPFAS汚染など沖縄の水問題の源流を公文書や写真でたどる所蔵資料展「水と生きる沖縄」が県公文書館で始まった。沖縄の先人たちが水の確保のために苦労した歴史や、戦前や戦後、復帰前の米統治下の沖縄で、水の確保がいかに重要課題だったかが見えてくる企画展だ。

 水は琉球王国時代から神聖なもので、正月行事に国頭村辺戸から水をくみ取り儀式に使用した。住民らは地域の湧き水や井戸水を生活用水に使っていた。

 沖縄で初めての水道は1933年に那覇市で誕生したが、44年の「10・10空襲」で破壊された。米軍が45年の沖縄戦に備えて水の補給について綿密な作戦計画を立ていた文書も残る。

 琉球列島米国民政府(USCAR)の付属機関・琉球水道公社は62年に報告書「全島水道施設の総合マスタープランについて」を策定。北部の水源開発を想定した2000年代までの長期間にわたる水の需要量の予測も示した。大宜味村の塩屋湾でもダム建設が計画されたが地元の反対により幻のものとなった。

 担当したのは、公文書専門員の西山絵里子さん。ダムの貯水率のほか、PFAS汚染など水質の安全性への関心の高まりを受け、現代に引きつけて企画。副題「沖縄の水をめぐる歴史と謎」とし水の英訳を「Good Water(良い水)」とした。「ペリー提督日本遠征記」(1856年)に示された琉球(沖縄)本島の地図に記載されたもので当時から良質の水の確保が重要だったことが伺える。

 西山さんは「水に関する所蔵資料はたくさんある。歴史という形で終わるものではなく自分たちの生活に直結していると知ってほしい。展示を見て所蔵資料を活用するきっかけになれば」と話した。

 (慶田城七瀬)


 展示は入館無料で来年2月9日まで。午前9時~午後5時まで開館。土日開館、月曜・祝日休館。