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移植サンゴが大規模産卵 読谷「海の種」とコーセーが撮影成功 気候変動に強い種を育成【U35】


移植サンゴが大規模産卵 読谷「海の種」とコーセーが撮影成功 気候変動に強い種を育成【U35】 大規模産卵するサンゴ=5月、読谷村(コーセー提供)
この記事を書いた人 Avatar photo 新垣 若菜

 化粧品製造販売業のコーセー(東京都)と読谷村で養殖サンゴの移植に取り組む「海の種」(金城浩二代表)がこのほど、約2千株のサンゴの大規模産卵の撮影に成功した。産卵したサンゴは、海の種が独自育成した高水温耐性が高い「ミラクルコーラル」と呼ばれる種で、産卵後の調査でも、90%を超える受精率が確認されたという。両社は「海の環境の再設計にも期待できる」とコメントした。

 サンゴ育成や環境保全などを目的とし、2009年に発足したプロジェクトの一環。これまでに2万211本のサンゴ植樹を実施している。

 サンゴは一般的に5~7月に産卵シーズンを迎えるが、気象条件の影響などもあり、産卵時の撮影は難しいとされる。両社は今年、多方面からの協力の下、産卵監視活動を続け撮影に成功した。また、サンゴは同じ親やDNAを持つ個体同士では受精しない特徴から受精率が低いが、海の種は、異なるDNAの個体を同じエリアに移植。

 今回、そのサンゴが大量産卵し、回収後の受精率調査では「一斉産卵により受精が進み、その受精率が90%を超えることが確認された」と発表した。

 今後、両社は気候変動にも適応できるサンゴの育成をさらに進め、海の環境やサンゴの再生活動により力を入れていく。

 海の種の金城浩二代表は「近年は高水温で世界中のサンゴの白化が広がるなど不安が大きいが、植え続けていくことで可能性を見いだせた。県民にも沖縄のサンゴ礁の価値をもっと理解してもらいたい」と語った。

 (新垣若菜)