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<コラム・記者ですが> 一県民として 高辻浩之(デジタル報道グループ)


<コラム・記者ですが> 一県民として 高辻浩之(デジタル報道グループ)
この記事を書いた人 Avatar photo 高辻 浩之

 「また、守れなかった」。今年6月、米兵の少女に対する性的暴行事件が明らかになった。無念さと被害者への申し訳なさから吐露した言葉だ。

 事件は昨年12月に発生、当時の私は県警キャップだったが、4月の異動まで詳細は把握できなかった。事件記者として、未公開の事件は当局の発表を待たずに情報を取り、公にする責務があると考えていた。少しでも早く報じていれば以後に続いた事件は防げた可能性がある。歯がゆい思いだ。

 2016年の米軍属による女性殺害事件。遺族を取材し、数年経ても癒えぬ悲しみに触れた。涙で取材ノートがにじんだ。同様の被害を出さないため、再発防止につながる報道を心がけてきたはずだった。無力さを禁じ得ない。

 事件が明らかになる前の1月、夜道で女性が面識のない米兵に襲われた。米兵は不同意性交容疑で県警に逮捕された。悪質な事件だったが、不起訴処分となった。琉球新報は3月、この事件を調べ報じた。県議会の米軍基地関係特別委員会でも事件の報告がされた。しかし、この件に関する質問や発言はなかった。がくぜんとした。

 「また米兵事件か」と「おざなり」になっていたのではないか。それは自分も会社も同様だ。「事件が起きる前に」「もっと問題提起していれば」とたらればでは、また守れない。再発防止を念頭に結果の伴う報道に努めたい。これは一県民としての誓いでもある。