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豊かな自然をこれからも 國吉真緒(沖縄尚学高校付属中学校2年)中学・高校生の部 銀賞<2024年度植木光教基金・琉球みどりの文化賞>5


豊かな自然をこれからも 國吉真緒(沖縄尚学高校付属中学校2年)中学・高校生の部 銀賞<2024年度植木光教基金・琉球みどりの文化賞>5 (イメージ)
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 2021年7月、沖縄島北部および西表島が世界自然遺産に登録された。沖縄の自然が世界から評価され、生物の多様性が認められた。多種多様な生き物が住めるのも豊かな自然があるからだ。私たちウチナーンチュはそれを守っていかなければならない。

 先日、海洋博公園に行った時、花の苗を配っていた。沖縄を彩るカラフルな花の苗が10種類ぐらいあり、私はハイビスカスを選んだ。咲くまでに、毎日の水やりはもちろん、日中の暑さを避けるため鉢を移動させたりと意外とやることが多く、やっと咲いた時はとても嬉(うれ)しかった。自分で一から始めてやりきることの喜びを植物を育ててみて感じた。

 私は、海洋博公園のように花の苗を配るイベントはとても良い取り組みだと思った。なぜなら、配布場所は列ができるほど人が並んでいて花や緑に関する関心の高さを感じたからだ。私も弟妹と一緒に並んだ。並んでいる間も弟妹たちとどの苗にしようか、知らない花の名前も調べたり、育て方の説明を見たり、いつもとは違う話題を楽しんだ。

 國吉 真緒さん

 こんなに花好きの人がいるならば沖縄の緑も増えるはずだと思う。でも、花を育てるためにも花の種や苗を買わなければいけない。もし経済的な理由や育て方がわからないなどの理由で植物を育てることをためらう人がいるならば、それはもったいないことだと思う。せっかくの沖縄の緑を増やすチャンスを失っているのと同じだ。

 また、私のように育てた植物が開花して喜びや癒しを感じた人もいるかもしれない。このように植物は、世話をする過程や花が咲いた時の形や色、香りで私たち、そして街に安らぎを与えてくれる豊かな存在である。これを沖縄で守っていくために必要なことはなんだろうか。

 まず、自分たちでできることから探していかないといけない。一つ目は、ボランティア活動。植物に関するボランティアには参加したことはないけれど、祖母の家や近所の花によく水をまいている。植物に関してのボランティアがあるか調べてみると、海洋博公園の熱帯ドリームセンターで行われている、およそ7万本のチューリップを植える活動だ。小中学生は無料で参加できるので来年はチャレンジしてみようと思う。

 しかし私が住んでいるのは那覇で、海洋博公園があるのは本部町。距離があるため毎年参加できるとは限らない。だから、もっと身近な地域での植物のボランティア活動があればいいと思う。そうすれば子どもだけでも気軽に参加できるし、参加者どうしの関わりも増えると思う。植物の世話を通して、私のように開花した時の喜びや、そこまで自分で世話をする責任感が子どもながらに身につくと思う。

 二つ目は、植物に関するイベントの開催。以前、離島フェアに行った時、植物のコーナーがあった。初めて見る花木の苗もたくさんあり、興味がわいた。果樹の苗木もあり、祖母と相談してバナナの苗木を購入した。鉢に植え替えてから新葉が出てきて、心が躍った。でも、葉の枚数が増えるたびにある問題が発生した。それは、バナナの葉に無数のアブラムシがついていること。水をかけて除去すると調べたけれど一向に消える気配はなく、結局水のあげすぎでバナナをダメにしてしまった。沖縄ではよくバナナの木を見かけるが、収穫に失敗した経験から、「こんなになるまでどれだけ苦労したんだろう」と思った。

 植物を育てるには色んな工夫や知識が必要だし、種類によっては育て方が大きく違うものもある。植物に関するイベントは、さまざまな植物の存在をもっと多くの人に知ってもらう学びの場だと思う。たくさんの種類の中から自分だけの苗を選び、責任を持って最後まで育てる。その経験が身近な植物から学べるのは素晴らしい機会なのではないか。緑や花が小さな子どもからお年寄りの方まで、たくさんの人にもっと近い存在になることをこれからも目標にしていければいいと思う。


 2024年度植木光教基金「琉球みどりの文化賞」の各部門の金賞、銀賞受賞作品を紹介する。