アジア太平洋地域の平和構築や維持に貢献した個人・団体に贈られる第12回沖縄平和賞の授賞式が28日、那覇市の沖縄ハーバービューホテルで開かれた。受賞した国際人権NGOの「ヒューマンライツ・ナウ」(東京都、新倉修理事長)に、沖縄平和賞委員会会長の玉城デニー知事から賞状と賞牌(しょうはい)、賞金1千万円が贈られた。
玉城知事は「賞創設以来、人権分野で活動する団体の授賞は初めて。各国で深刻な人権侵害が懸念されるなか、意義深い」とたたえた。
ヒューマンライツ・ナウは2006年に発足。アジアを中心に紛争下の人権、女性に対する暴力、児童労働などの人権問題を調査し、被害者に代わって声を上げ、国連や各国政府への政策提言などを展開してきた。
記念講演をした伊藤和子副理事長は「声を上げなければ結局、加害に加担してしまう。人権侵害の構造を変えるために、人々の無関心を関心に変え、行動に変えていきたい」と述べた。沖縄で相次ぐ米軍基地から派生する性暴力事件や隠蔽(いんぺい)の問題にも取り組んでいく決意を示した。
小川隆太郎事務局長は授賞式後の記者会見で、辺野古新基地建設を巡る抗議活動への制圧が日常化しているのは異常だと指摘。「国際的な基準からしても許されないことを訴えていきたい」と話した。また、「PFAS(有機フッ素化合物)も大きな問題になりつつある。国連とも連携しながら貢献していきたい」と語った。
(南彰)