琉球王国の政治、外交、文化の中心を担った首里城。戦乱や失火で焼失しても、そのたびに再建・復元され、600年余の間に、さまざまな困難も乗り越え、よみがえってきた歴史がある。5年前の火災は、県内外に衝撃が走ったが、火災直後から復興への支援の輪が広がってきた。2026年の完成を目指し、正殿の再建作業が進む中、音楽や映画などの活動を通して首里城への思いを表現する県出身アーティスト3組が本紙へ寄せたメッセージを紹介する。
私たちHYは沖縄を拠点に活動して25年になります。沖縄を離れて分かる沖縄の魅力がたくさんあります。空と海の青や、大自然が教えてくれる大切なサイクル。おじい、おばあが教えてくれる人情。HYは沖縄が大好きです。
そんな大好きな沖縄のシンボルの一つが「首里城」です。2019年の首里城の火災はショックでしたが、復元に向けた建築専門家の方々が日々、テレビで首里城の貴重な木材や作りを説明していてすごく興味が湧きました。
たくさんの方々が力を合わせて復元される首里城に会いに行く日を楽しみにしています。
HY/2000年結成。新里英之(ボーカル・ギター)、名嘉俊(ドラム)、許田信介(ベース)、仲宗根泉(キーボード・ボーカル)からなる。03年、アルバム「Street Story」でインディーズとして史上初のオリコンチャート初登場で4週連続1位となり、ミリオンセラーに。首里城火災の直後から、全国ツアーで集めた寄付金99万2822円を県に寄付した。
首里城は小学生の頃、東京のいとこが遊びに来たときや、家族と通った思い出の場所。ニュースで首里城の火災を知ったときは言葉を失い、歴史好きの夫(ビビる大木)と一緒に、歴史あるものが壊れる姿を悲しみました。
焼失した首里城をテーマにした岸本司監督の映画「不死鳥の翼」で主演を務めました。離婚して、サックス奏者でも挫折した女性が沖縄に戻り、沖縄の人々との交流を通じて、また歩き出す姿を演じました。沖縄の人は戦争を経験しても、明るく前を向いて生きてきました。首里城復興の様子を映画やイベントで活用するなど、沖縄の人は辛い経験をして強くなっているのだと思います。
復元する首里城は、私の知る姿とは少し変わるかもしれませんが、次世代に向けた変化も大切。首里城とともに進化していこうと、自分自身にも投げかけています。
AKINA/歌手・俳優。1985年那覇市生まれ。97年に沖縄アクターズスクール出身の男女混成グループ「Folder」でデビュー。2000年から「Folder5」で活動し、解散後はソロ活動。火災で焼失した首里城をテーマにした映画「不死鳥の翼」で主演の赤田奏を演じた。
首里城は沖縄の象徴であり、心のよりどころだと思います。
でも、あくまでものに過ぎず、歴史的にも何度燃えても復元されて、その度に沖縄県民の心も、島への思いも強くなったと思います。
とは言え、過去の建築技法を継承できる人が減ったり、資源の問題があったりして、完全な再現が難しくなっている現状を踏まえ、もっと自分たちの文化に興味を持って、世界にアピールし、継承していける沖縄の若者が増えていってくれるとうれしいです。
OZworld(オズワルド)/ラッパー。1997年嘉手納町生まれ。2019年にデビューアルバム「OZ WORLD」をリリース。首里城火災をきっかけに生まれた楽曲「琉 ~Ryu~」では、県出身ラッパーのAwich(エーウィッチ)とCHICO CARLITO(チコ・カリート)とともに思いをつづった。