首里城公園内の木材倉庫では、約30人の宮大工が正殿の復元作業を進める。最年少の後藤亜和(あや)さん(22)は「あれだけ燃えてしまった首里城がどんどん再建していく姿は、自分にとってもエネルギーになる」と語る。
北中城村出身で、建築士の父を持つ。首里城火災の発生時は普天間高校3年で「まさかこんなに燃えるなんて」とショックを受けた。卒業後に父が設計した住宅の現場に入り、建築を学んでいった。
父の勧めで、2023年10月から復興作業に加わった。当初は頼れる人が少なく、精神的につらいこともあったが「周りに助けてもらい、今は慣れた」とほほ笑む。現在は正殿の内部材の加工を手がける。
首里城の顔とも言われる「唐玻豊(からはふう)」の彫刻に携わる機会もあり「通常は経験できない分野も経験させてもらっている」。
木工事は来年春に終了し、塗装作業が本格化する。「よりオリジナルに近づけるよう、多くの関係者が相談しながら再建している。完成したら多くの方々に見てもらいたい」。再興を信じ、蒸し暑い現場で腕を振るう。
(前森智香子)