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瓦職人・島根さん「子どもに自慢したい」しっくいで仕上げ作業<沖縄の象徴再びー首里城火災から5年>


瓦職人・島根さん「子どもに自慢したい」しっくいで仕上げ作業<沖縄の象徴再びー首里城火災から5年> インタビューで笑顔を見せる島根弘樹さん=22日、那覇市の首里城公園(小川昌宏撮影)
この記事を書いた人 玉城 凪姫

 島根弘樹さん(31)は、首里城の再建を支える島袋瓦工場(与那原町)の若手瓦職人だ。現在は首里城上層屋根の漆喰(しっくい)塗りの仕上げ作業を担う。

 一枚一枚の赤瓦をつなげる役目として、白いしっくいを塗る。重ね塗りは3回。正面から瓦を見たとき、ハの字の形に広がらないように気を付けている。

 糸満市出身の島根さんが瓦職人になったのは19歳。それまで配送の仕事をしていた。叔父の勧めで知り合いの職人を紹介され、瓦の世界に入った。「糸満で育ち、首里城になじみがあるわけではなかったが、生まれたときから当たり前にある存在だった」。火災の前年には首里城正殿近くの二階御殿(にーけーうどぅん)の工事も担当した。

 火災当時は自宅にいた。携わった二階御殿も焼失した。だが、自身が漆喰を塗っていたこと、島袋瓦工場の職人もいることから「大丈夫、再建できる」と信じていた。

 最近、再建作業を1歳半になる自身の子どもが見学に訪れた。作業着姿の島根さんにすぐに気づき、「パパ」と呼び続ける姿がかわいかったという。「首里城を無事再建させ、子どもが大きくなったときに自慢したい」。目標を見据え、きょうも瓦に向き合う。

 (玉城凪姫)