北谷町のコンサルタント会社が障がい者グループホームでの給付費を水増し請求していた問題が2日、明らかになった。利用者不在で利益追求を図った実態が浮かび上がる一方、行政の指導がコンサル会社まで行き届かないという現状もあらわになった。コンサル会社に運営を委託していた法人は「利用者が本来あるべきケアを受けられなかった」と問題視する。
水増し請求が発覚後、今年7月からは業務委託をしていたコンサル会社に代わって法人が直接、グループホームの運営を始めたが、法人によると退去勧告をされた利用者もいたという。「引きこもりにより清掃ができない」などの理由だった。自室はごみに埋もれ、排せつ物も放置されたままだった。
その利用者は現在、支援を受けて部屋を整えるようになっている。法人側はコンサル会社の運営について「関わりを持たず、やっかいだからと追い出そうとしたが、とんでもないことだ。何のためにグループホームを運営しているのか」と指摘する。
法人は昨年2月、コンサル会社がグループホームを売却すると聞き、購入。運営は継続して任せる契約だった。水増し請求に気付き、コンサル会社に説明や資料の提出を求めているが、拒まれている。法人は「まさか不正を働いているとは思いもしなかった。不正に加担したくない」と返還を決めた理由を説明する。
県障害福祉課によると、2千万円を超す高額の修正申告は前例がない。相談を受けた同課は9月、法人の運営指導に入った。従業者の勤務状況や介護請求の諸記録を準備するように求めた。
いずれの記録もコンサル会社が引き渡しを拒んでいる事情も同課は把握しているが、「本来、法人が制度を熟知した上で責任を負うべきもの」と指摘。指導対象は法人にとどまるという。
ただ、水増し請求はコンサル会社がグループホームを所有していた昨年1月以前から継続していたとみられる。過去5年間は処分の対象になり得る。同課は、コンサル会社の関与について「県内では前例がなく、どういう対応が必要か調べている」としている。
(宮沢之祐)