戦時中に水没事故が発生し朝鮮人を含む183人が犠牲になった山口県宇部市の海底炭鉱「長生炭鉱」で、遺骨回収を目指す地元の市民団体と民間ダイバーが10月30日、陸上にある炭鉱の出入り口「坑口」から潜水し、内部の状況を調べた。
坑口は横幅が220センチ、縦幅が160センチで、団体が今年9月に発見した。今回はダイバーが約40分間潜水し、用意した命綱の分の約180メートルまで坑内を進んだ。
内部は炭鉱のものとみられるパイプなどの残骸が多いものの、より奥まで進めることを確認できた。29日には坑口とは別に、海中から突き出た排気口「ピーヤ」の内部も調べたが、奥深くへ進むことが困難だったため、今後は坑口を中心に調査を進めるという。
潜水したのは大阪府のダイバー伊左治佳孝さん(36)。潜水後「継続してやれば本当に遺骨はここから回収できる気がする」と話した。市民団体「長生炭鉱の水非常を歴史に刻む会」の井上洋子共同代表(74)は「ご遺骨に近づけるように頑張っていきたい」とした。
長生炭鉱では1942年2月に坑内へ海水が流れ込む事故が発生。朝鮮人と広島や沖縄出身などの日本人が死亡した。
(共同通信)