警官の証言内容に変遷 チョウ類研究者の公務執行妨害公判 那覇地裁 沖縄


警官の証言内容に変遷 チョウ類研究者の公務執行妨害公判 那覇地裁 沖縄 那覇地裁(資料写真)
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 2023年5月、米軍北部訓練場返還地で回収した鉄パイプと火薬を在沖米総領事館前に持参し「投げるぞ」と警察官を脅したなどとする公務執行妨害の罪などに問われている東村のチョウ類研究者の被告(46)の第8回公判が6日、那覇地裁(佐藤哲郎裁判長)で行われた。

 証人尋問では、検察側と弁護側との間で争点となっている被告の発言内容や逮捕時の状況を巡り、警察官の証言内容に変遷があることが明らかになった。

 被告は訓練場ゲート前で車両往来を妨害したとする道交法違反罪や22年9月の県知事選を巡る火薬類取締法違反罪、公職選挙法違反罪など複数の罪に問われている。

 6日の審理では、23年5月の総領事館前での事案について、埼玉県警から派遣された巡査ら警察官2人が検察側証人として出廷し、公務執行妨害容疑で現行犯逮捕した時の状況を証言した。

 主尋問では、警察官2人が「手荒いことをすると投げるぞ」「岸田総理が沖縄に来た時にも弾丸を投げた」などと脅迫されたと証言。一方、被告が否定しているこれらの発言をした時刻が、現行犯逮捕時に作成した書面や逮捕直後の供述調書から修正されていたことも明らかにされた。

 警察官は「現場で時計を見る余裕がなかった」「錯誤してしまった」と説明。反対尋問では、時刻のほか被告の発言の文言にも修正があることを指摘され、「その時の記憶で言っている」などと述べた。

 公判後に取材に応じた弁護人の金高望弁護士は、逮捕後に押収された被告のスマートフォンに現場の様子を収めた映像が保存されていた点を指摘し、「映像とつじつまを合わせるために証言を変遷させたと疑わざるを得ない。警察官の証言は重要な部分で信用できない」と述べた。