米大統領選は、トランプ前大統領が激戦を制し政権を奪還した。沖縄でも、県民が高い関心を持って開票結果を見守った。過剰な負担に悩まされる県内の基地問題のほか、米中関係、世界各地の戦闘やそれに伴う物価高騰、経済など多方面への影響について、期待と不安が交錯した。
普天間飛行場の県外移設を求めてきた「カマドゥー小の集い」の久場たつのさん(64)=宜野湾市=は「沖縄をはじめとして海外の米軍基地を縮小してほしい」と求める。「まずは米国から軍事費を削減し、福祉や教育への支出を多くする。そうすることで今高まっている中国との緊張関係がなくなるはずだ」と期待を込めた。
妹が米バージニア州に住む元教員の60代男性=八重瀬町=は、トランプ氏の自国第一主義は、台湾を巡る安全保障環境や尖閣問題、日米地位協定の見直しなどをより厳しくすると懸念。「沖縄に対し『米軍に頼りすぎるな』と、駐留の在り方を大きく見直すのではないか。暴力的で強烈な言葉でぐいぐい引っ張り、米国内も二分されると思う」と先行きを案じた。
日本政府が軍備強化を進める宮古島市に住む女性(67)=自営業=はトランプ氏について「差別発言などが多くて好きではない」と語気を強めつつ、「トランプ氏が大統領になることで、アジアなどにおける米軍の展開がおとなしくなるのであれば、その1点だけは期待したい。米軍の海外派遣などは控えるべきだ」と語った。
糸満市の自営業、上原勝さん(46)はウクライナやパレスチナ自治区ガザで長引く戦闘に触れ「ウクライナやイスラエルへの支援を続けたバイデン政権下、世界的に物価高騰が進み生活は苦しくなった。トランプ氏はリーダーシップを発揮し、戦争を終結させてほしい」と望んだ。
野菜を栽培する農家の50代男性=名護市=は、トランプ氏が自国優先の経済政策にかじを切ることで、物価が上がり農業にも影響するのではないかと心配する。「ただでさえ高騰している肥料価格がさらに上がる。野菜の販売価格は抑えられている中で、農家にとってダメージが大きい」と表情を曇らせた。
(梅田正覚、田中芳、友寄開、玉寄光太、玉城凪姫、岩切美穂)