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【スクープ第3弾】前事務局長、独自に別法人設立 単独活動で出資トラブル関与か 地元関係者も知らずに困惑 被害男性、CSSと混同か <幻影の辺野古マネー>


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 名護市辺野古新基地建設工事を巡る9億円の出資トラブルで、問題となっている契約に、名護市辺野古の地元団体「一般社団法人辺野古CSS(キャンプ・シュワブ・サポート、CSS)」の前事務局長が代表を務める団体が関わっていることが明らかになった。前事務局長が地元の辺野古で、CSSとは別に「地域振興」を掲げて独自の活動をする中で一連のトラブルとの接点が生じたとみられる。CSS関係者も「まったく知らなかった」という突然の事態に、地元では混乱が広がっている。

被害男性、CSSと混同か

 「今の理事も昔からの理事もまったく知らなかった話だ」

 古波蔵太CSS理事長は8月、本紙取材に対し戸惑いを口にした。トラブルの発覚を受け、地元でもCSS理事も含めた関係者へのヒアリングを重ねたが、事情を知る人はいなかったという。

 今回、トラブルに発展した契約に関わったのは、CSS前事務局長が2010年に設立した一般社団法人だった。

 登記簿などによると、設立の目的について、「米軍施設に係る辺野古区及び関連地域の安全を確保する」とし、「米軍施設に関連した事業を創造し、雇用創出、地域の活性化」をすると掲げている。この社団法人は、CSS前事務局長が代表理事を務めるが、ほかに理事はおらず、前事務局長が個人で活動するために設立したとみられる。

 一方、この人物が一時、「事務局長」の肩書を得ていたCSSは、米軍普天間飛行場の移設による名護市辺野古への新基地建設に伴い、市の「地域振興」を目的として地元企業への建設業務のあっせん事業などを行う団体として2009年8月に設立された。

 新基地が建設される米軍基地「キャンプ・シュワブ」にちなみ、「キャンプ・シュワブ・サポート」の頭文字を団体名とした。発足時には、辺野古、豊原、久志の久辺3区、北部地域振興協議会(北振協)、名護漁業協同組合の5団体が参加。工事の停滞に伴い10年5月以降は休止していたが、14年5月に活動を再開した。北振協会長の島袋吉和元名護市長、荻堂盛秀元県商工会連合会長ら15人(2023年1月現在)が理事を務める。

 詐欺被害を訴える男性は「二つの団体は似たような活動をしており、はっきりとした区別がついていなかった」としており、組織性が極めて低い団体と、地元の有力関係者が複数人関わる団体との混同が、トラブルの遠因になった可能性もある。

 (「幻影の辺野古マネー」取材班)

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