与那国町は11日夜、町構造改善センターで有事などを想定した避難方法についての住民説明会を開いた。約20人の住民が参加した。町は3月末に国民保護法に基づく武力攻撃事態を想定した避難実施要領を公表しており、「周知」のために実施した。町は一日で全島民を島外避難させること検討している。
町の避難計画では町民を9組に分け、徒歩で小中学校の体育館や公民館に集合し、町が確保したバスか徒歩で順に与那国空港や祖納港、久部良港に移動し、空路と海路で一日で石垣島に向かう。新石垣空港と石垣港に到着後、福岡空港と鹿児島港へ避難する。
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悪天候で船舶が利用できない場合は民間の航空機を6機確保し、1日11便を運航させ、福岡空港に直接避難する計画を検討している。
高齢や障がいなどで支援が必要な人の避難について町は「基本的に航空機になる」とし、詳細については現在検討中としている。
一方、空港の保安検査で搭乗するまでに1時間以上かかることや、九州に避難後の具体的な滞在先の確保など課題も残されている。
町担当者は諸課題の解決に向け検討を進めるとした上で、避難計画公表から約5カ月経過しての説明会開催に「遅すぎたくらいだ。町民に周知、把握してもらい、意見交換していきたい」と話した。
(照屋大哲)
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さまざまな「有事」のパターンがある中で、現段階で可能な範囲で作成しているのが今の計画だ。全町避難が必要になる状況は不透明なことが多く、多種多様な想定外が起こりえる。
沖縄県と九州各県で避難協定を結んでいるが、受け入れ先で何日受け入れ可能かなど、現実的な課題の調整はまだまだこれからだ。今回の住民保護の説明会は第一歩であって、より実現性が高いものにしていくために、これから何ができるのかが問われていく。
本来ならそもそも自衛隊配備が計画された段階で、住民保護の問題は同時に議論されるべきだった。一体、何年たって議論を始めているのか。自衛隊配備を積極的に進めた前町長含めた町議会関係者、それから説明を怠っていた防衛省の責任も重い。
自衛隊配備で島が攻撃対象になる可能性は極めて高くなる。国民保護の体制づくりはやらないよりはやった方がいい。
政治家は「台湾有事は日本有事」と短絡的な議論ばかりするのではなくて、現実的な観点で議論を進めるべきだ。与那国町と沖縄県、それから政府の責任が極めて大きい。
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