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【識者談話】政府、代執行やめよ 知事辺野古承認せず 飯島滋明氏 (名古屋学院大教授)


【識者談話】政府、代執行やめよ 知事辺野古承認せず 飯島滋明氏 (名古屋学院大教授) 飯島滋明氏
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 沖縄県の米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古への新基地建設に関して、大浦湾側の軟弱地盤改良工事の設計変更申請を承認するよう斉藤鉄夫国土交通相が県に求めた指示について、玉城デニー知事は期限を迎えた9月4日、「期限までに承認を行うことは困難だ」と述べ、現段階で承認を行わない考えを表明した。これについて識者2人に見解を聞いた。


 最高裁判所は9月4日、辺野古新基地建設の設計変更を承認するように国土交通大臣が知事に指示を出した行為は違法でないと判示した。アメリカやフランスの裁判所は、市民の権利・自由の擁護者の役割を積極的に果たし、政府の行為を違憲・違法と判示することもある。一方、今の日本の裁判所は政府への忖度(そんたく)まみれの存在である。民主国家の裁判所としてこれで良いのか、国民的議論が必要だ。

 行政法学者有志が声明で指摘するように、9月4日の最高裁判決は知事に承認を直接、義務づけるものではない。

 沖縄では頻発する米軍関係者の犯罪、市民生活を顧みない米軍の訓練や事故、基地建設や増強により、市民の命や暮らし、「平和的生存権」が脅かされてきた。県の意向を無視して艦船やオスプレイなどを寄港、着陸させる米軍の行動は「地方自治」を蹂躙(じゅうりん)してきた。

 だから2019年の県民投票では、「基本的人権」「平和主義」を脅かす新基地建設は認められないという「民意」が示された。

 「基本的人権」「平和主義」「民主主義」「地方自治」を守るのであれば、岸田文雄首相率いる自公政権は沖縄の市民の切なる声に「聞く力」を発揮し、代執行を含めた強硬手段をとるべきでない。

 (憲法学・平和学)

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