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「住民意思の無視は許されず」対話を求め、県が答弁書提出 辺野古新基地の代執行訴訟 


「住民意思の無視は許されず」対話を求め、県が答弁書提出 辺野古新基地の代執行訴訟 
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 名護市辺野古の新基地建設問題で、大浦湾側の軟弱地盤改良工事の設計変更申請の承認に関する代執行訴訟を国から提起されたことを受け、県は18日、国の請求棄却を求める答弁書を福岡高裁那覇支部に提出した。

 県は答弁書で、埋め立て反対が多数となった県民投票結果など県民の民意を核の一つに据え「意思決定において、当該地方公共団体の住民の意思を無視して行うことは到底許されない」と強調。国は代執行に頼るのではなく「対話による解決の道を探ることこそが最善の方法であることを示してほしい」と裁判所に訴えた。

 答弁書では設計変更申請を巡り、2019年6月以降19回に渡って県が国に対話を求めてきたにもかかわらず、国は応じていないことを指摘した。

 代執行訴訟を起こす要件として「(代執行)以外の方法によってその是正を図ることが困難」と規定していることを踏まえ、答弁書で「『(国側は)規定する措置以外の方法によってその是正を図る』ことさえ試みていない。にもかかわらず『是正を図ることが困難』と言うことはできない」と述べ、対話に応じない国は代執行訴訟を起こす要件を満たしていないと主張した。

 国側が主張する「公益」について具体的な事実や事情の主張立証をしないまま「安全保障」という表現にとどめていることに「安全保障とさえ言えば、司法審査は全て不要と言わんばかりの姿勢だ」と強く問題視した。

 また、普天間飛行場の危険性について「今ここに存在しているにもかかわらず、国は普天間飛行場の危険性の除去などを懈怠(けたい)してきた」と厳しく批判。新基地完成までの間、普天間飛行場は固定化するとし「国が主張する普天間飛行場の危険性の除去等という公益侵害は極めて抽象的なものに過ぎない」とした。(知念征尚)