県市長会(会長・桑江朝千夫沖縄市長)は31日、那覇市の県市町村自治会館で臨時総会を開き、2024年度の沖縄関係予算の要請について、県との連名ではなく市長会単独で要請することを出席者の全会一致で決めた。臨時総会には県内11市のうち那覇、南城、宮古島を除く8市長(代理含む)が出席した。
桑江会長は総会後、取材に対して「基礎自治体としてたくさんの事業を抱えている中で、振興予算を増やしてもらいたい。今、国と県に信頼関係がないのは目に見えている。県と一緒に行動するのは得策ではない」と話し、減額が続く沖縄関係予算の増額に向けて県と共同歩調を取らない方針を明確にした。
沖縄関係予算は、当初予算ベースで21年度までは3千億円を上回ったが、22年度は2684億円、23年度は2679億円と減額傾向が続いた。市町村には、特に沖縄振興公共投資交付金(ハード交付金)の減額によるインフラ整備などの遅れについての懸念が強い。
桑江会長は「一括交付金が増額されず、手を付けられないところがあることに不満がある」と話した。具体的な要請文面は今後作成するとして「各市の困っていることや大きな事業などを速やかに着手、あるいは終了させることが市民生活の豊かさにつながる。独自性を出す」と話した。
県は、21年8月から県市長会、県町村会と連名で国庫要請を実施。県町村会長の宮里哲座間味村長は「町村会ではまだそのような議論はしていないが、市長会から話があれば検討したい」と答えた。
31日の市長会臨時総会ではこのほか、県内28市町村に水を供給する県企業局が、来年4月から市町村への水道料金を3割程度値上げすることを検討していることについて、急激な値上げは認められないとする文書を、近く市長会として出すことも決めた。
(沖田有吾、梅田正覚)
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